パニック障害でも電車に乗る方法

 パニック障害の方の中には、広場恐怖という症状を持つ方が多くいます。パニック障害の患者さんが一番恐怖に感じることは、発作が起こったときに逃げられないような場所に自分が居るときにパニック発作を起こしてしまうことです。
 「発作が起きたら死んでしまうのでは?」「こんな人ごみで発作を起こしたら迷惑を掛けてしまう」「誰も助けてくれなかったら!」と思うと、それだけで非常に不安や恐怖感が増す。ですから、パニック障害の方は人でごった返している場所や、エレベーターや映画館などの密閉された場所に行くことができなくなってしまう、あるいは移動手段の乗り物に乗ることもできなくなってしまうのです。
 ここでは、パニック障害でも電車に乗ることができるような方法を紹介していきましょう。

無理のないところから練習しましょう

 まずはできるところからで大丈夫。パニック障害のせいで電車に乗ることができなくなってしまったとしても、いつも乗車する駅まで歩いて行ってみる。改札を通ってホームに出てベンチに座り、行き来する電車を眺めてみる。
 慣れてきたら、いきなり急行や特急に乗るのではなく、もし具合が悪くなってもすぐに下りることのできる各駅停車に乗る。座れないほど混んでいる電車は避け、ゆっくり座っていける電車を選ぶ、発作が起きたらすぐ降りられるようドアの近くにいる、などなど。
 パニック障害を一人で克服することはなかなか難しいです。電車に乗るときも、家族や信頼できる人に一緒に乗ってもらいましょう。

これを持って電車に乗ろう

 「パニック障害でもこれを持っていれば安心する、大丈夫だ」と思えるものを携帯しましょう。それは何でもいいのです。お守りでもいいし、アメをなめていれば気が紛れるというのならアメでも構いません。パニック障害のお薬を携帯していれば安心できるというならそれでもかまいませんし、アイポッドで音楽を聴いたり本を読むでもOKです。
 また、なんとなくいやな予感がしてきたら、安心できるツボを押すとか、安心できる言葉をつぶやく。「私は大丈夫」「発作が起こっても長くは続かない」など、パニック障害を抱えながらでも、自分で安心できる方法をいくつか持っておくといいかもしれませんね。

もし、電車の中でパニック発作が起きたら

 もし、電車に乗っている最中にパニック発作が襲ってきたら! それを考えると、やっぱり不安で足がすくみますよね。でも、もし発作が起こったとしても、それは決して長くは続きません。ほんの10分もすれば何事もなかったように嵐は過ぎ去ってくれるでしょう。パニック障害の方で、車内で失神した人も死んでしまった人もいません。
 出掛ける前に不安をなくす薬を飲んだからそうひどいことにはならない。もし発作が起こっても座っているから大丈夫。腹式呼吸をすればおさまる。付き添いがいるから助けてくれるなどなど、もし電車の中で発作が起きたとしても自分は大丈夫だ、対処できるという暗示を自分にかけていくことも大切です。

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パニック障害の原因は?

 パニック障害の原因としては諸説あり、以前は“こころの病気”としてひとくくりにされていましたが、現在では脳の働きが大きく関係していることが分かっています。原因は一つではないので、以下におもな原因となるものについて説明していきましょう。

原因は脳の機能障害

 パニック障害の原因として、今一般的に言われているのは“脳の機能障害”によって起こるという説です。脳には青斑核(せきはんかく)という部分があって、そこは危険が迫ったときに警告をしてくれるノルアドレナリンという神経伝達物質を生成する場所となっています。このノルアドレナリンの分泌に異常が起こり、脳の警告装置が誤作動を起こして危険ではないのにノルアドレナリンを過剰分泌させてしまうと、必要以上に不安感を増し、パニック発作を引き起こすといわれています。
 また、このノルアドレナリンが過剰分泌されないよう抑えてくれるセロトニンという神経伝達物質が不足してしまうこともパニック障害の原因の一つだと言われています。

パニック障害の患者さんの性格的傾向

 イギリスのオックスフォード大学の教授で、心理学者のデビット・クラーク博士は、パニック発作を頻繁に起こしてしまう人は、体にとって何の危険もないような症状でも、命に関わるくらいに重大で危険な状態の前触れかのように受け取って、非常にその状態を恐れ、不安になる傾向があると言っています。
 また、同じくイギリスのマークス教授は、パニック障害の患者さんが持つ性格特性として「気がやさしい」「心配性」「依存的」「協調的(自己主張しない)」という傾向があると指摘しています。これは、こういった性格傾向がパニック障害の原因であるということではありません。ただ、あまり神経が細やかでいろいろなことが気になる人より、いい意味で、図太いぐらいの人のほうがいいのかもしれませんね。

パニック障害は遺伝する?

 パニック障害の原因として遺伝的な要素があるのかどうかは気になるところです。いくつかの信頼おける調査によると、パニック障害の患者さんの家族には、普通の一般の健康な人に比べてパニック障害を患ったことがある人が8~10倍も多いというデータが出ています。また、双子の兄弟の場合、片方の方がパニック障害を発症した場合、もう一人も同じようにパニック障害になる確率は、一卵性の場合で24パーセント、二卵性の場合でも11パーセントという報告もあります。
 しかし、実際にはパニック障害が遺伝する遺伝子というのは発見されていませんから、医学的には親から子へ遺伝する病気ではないと言えるのです。

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パニック障害を治すお薬

 パニック障害の治療は薬を使った対症療法的な治療と、認知行動療法のような実際に体を動かすことで症状に立ち向かっていく治療を並行して行っていきますが、ここでは、パニック障害の治療薬としてポピュラーなものについて、その有効性や副作用の有無などを説明していきましょう。

薬がパニック障害に有効なわけ

 パニック障害の治療には薬が非常に有効だとよくいわれるのにはどういった理由があるのでしょうか。それは、パニック発作が薬でコントロールできるからです。パニック障害の原因については100パーセント解明されたわけではなくても、しくみとしては、脳内にある危険を知らせる警報装置の役割をする神経細胞が、何らかの理由によって誤作動を起こし、危険な状態ではないにも関わらず警報を鳴らしてしまうことで、体が発作という反応を起こしてしまうということがわかっています。神経細胞はある一定量の刺激では反応しませんが、一定量を越えて刺激を続けて興奮が高まってくると、次第に興奮の度合いが低くても興奮が引き起こされるという性質があるのです。
 ですから、薬によって興奮を鎮めることで非常事態を平常な状態にし、発作を止めることができるわけです。
 パニック障害の治療では、第一にパニック発作を抑えることが必要です。一般に抗うつ剤と抗不安剤の2種類を使用します。

抗うつ薬のメリット、デメリット

 日本でパニック障害の治療に使われる抗うつ剤の代表はSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)です。現在パニック障害の第一選択治療薬です。セロトニンという脳内にある不安を抑えてくれる神経伝達物質を増やし、パニック障害の症状を改善させてくれます。副作用が少ないことがメリットで長期間の服用も可能です。特に広場恐怖、うつ症状には非常に有効です。
ただ治療効果が出るのが遅いというデメリットもあり、パニック発作の抑制自体にはあまり効果がないともいわれています。パキシル、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトなどがあります。

抗不安剤のメリット、デメリット

 パニック障害の治療で抗うつ薬とともに使用されるもう1種類は、ベンゾジアゼピン系抗不安剤で、これはうつ病の患者さんに使うのと同じものです。パニック障害の症状のうち、パニック発作と予期不安に対して有効です。使用効果が早く出ることがメリットです。
しかし、デメリットとして多少の眠気、食欲不振、吐き気などの副作用を伴います。また、常用すると依存症になったり、使用をやめると禁断症状が出るといった怖さももっています。コンスタン、ソラナックス、ワイパックスなどがあります。

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